7画と格闘した勝負の行方

ねえ、アナタの性格を教えて。
そうやって聞かれたらなんて答えるだろう?

私?
私の場合は『負けず嫌い』だ。
だって勝負するなら勝ちたいし、負けるなんて絶対嫌だ。

小さい時、いつも会社から帰ってくる父を待ち構えてはオセロの対戦をして。
ことごとく負けて。
お父さん大人のくせに!!と八つ当たりして泣いていたことを
いまだに母に笑われる。
ちなみに父は一切手を抜いてくれない人だったので。
オセロで勝てたのはだいぶ後になってからだ。

そんな負けず嫌いは勉強の時にもあらわれた。
私が小学校1年生のとき。
どうしても苦手な漢字があった。
どうしても覚えられない。
なんで皆はあんなにスラスラ書けるんだろう。

そう。その漢字は。
『足』
という字。
たった7画のあの字が当時の私には強敵だった。

仕事から帰ってきた母に聞いた。
『足』と書いてある教科書を指差しながら。
皆は書けるのにどうしてもこの漢字がうまく書けない。
書けるようになりたい!!

そうしたら、その日から特訓が始まった。
母の答えは簡単だった。
書くしかないから、やるぞ。
まるで今から25メートル息継ぎなしで泳ぐぞ、みたいな気迫で言われた。

父とのオセロは3回戦していたのを1回戦にして。

ひたすらノートに足という字が並んでいく。
私の右の手のひらは鉛筆で真っ黒になって。

こんなに真っ黒になったー!って両親に謎の自慢をしていた。


いつの間にかあんなに苦手で拒否反応を起こしていた
『足』という字が好きになった。
小学校の絵日記にも書いていたのを覚えている。


いよいよ決戦はやってきた。
そう。

国語の漢字テスト。
そして事件はおきる。
あれ?おかしい。。。

あんなに練習したのに?

テストが返ってきた数日後。

担任の先生からの赤いペンの文字。
すっごい頑張ったの知ってる。
そう書かれてた。

ああ。あんなに練習したのに。
あんなにお父さんもお母さんも付き合ってくれたのに。

これ見たらがっかりするかな。
怒られるかな?
仕事から帰ってきた母にテストを見せる。

漢字テストの紙を見て。


母、大爆笑


そう私が書いた足っていう字。

こうなってたんです。

怒らないの?って聞いたら。
あれだけ一生懸命やってたのに、怒るわけないじゃん。
考え過ぎて間違えただけでしょ?
良いじゃん、この字。お母さん大好き。

足っていう漢字はそれ以来間違うことは無くなったし。
きっと自分の名前以外で印象的な漢字を聞かれたら、私は絶対このエピソードを話してる。

そして大人になった今。

両親と特訓した2週間と。
母親のあの時の笑い声と言ってくれた言葉は今も宝物になってる。

ねえ。
あなたにとっての忘れられない家族とのエピソードは?

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