その命は誰のもの?

突然ですが皆様は胃瘻(イロウ)ってご存知ですか?
胃瘻は、PEGとも呼ばれPercutaneous Endoscopic Gastrostomy の頭文字をとったもので経皮内視鏡的胃瘻造設術と呼ばれています

口から栄養がとれない方や、嚥下(飲み込み)の機能が低下してきてしまった方に胃に栄養を入れる為の小さな口をつくるイメージです

この胃瘻と呼ばれるものをつくっても入浴やシャワーも可能です
鼻から管を入れて栄養剤を入れる経鼻経管栄養と言うのもありますが、胃瘻の方が誤嚥性肺炎になりくいというメリットもあります(残念ながらならない訳ではありません)
ちなみに胃瘻と併用して口から食事をする練習をして最終的に胃瘻を抜く(元の状態に戻す)こともできますし、そのような方も沢山みてきました

 

あ、初めましての方申し遅れました
仕事は看護師をしているShokoと申します

そしてたまにtwitterやSNS上で見かけるのは
胃瘻をつくるかつくらないか
つくることは本人の意思を無視しているのではないかということ

家族が本人の意思を確認せず生きていて欲しいと願い
80歳や90歳をすぎた身体に胃瘻をつくることはどうなのかという意見もあります
お母さんはご飯を食べるのが生きがいだったんだから、今でもそうに決まってる
食べられないなんてかわいそう
そうやって思う(考える)ご家族の方もいらっしゃいます

胃瘻をつくることは善悪ではなく治療の1つ
そして飲食することを楽しむ
私の看護師の経験としてそんなことを今日はご紹介できたらいいなと思います

私が看護師になって最初に配属されたのは消化器外科というところでした
胃瘻をつくる患者さんもつくった後にまた治療として入院して来る方も沢山いました

何度かの手術を繰り返しまた入院してきた男性の患者さんがいました
楽しみは奥さんとお酒を飲むこと
特に赤ワインが好きな方でした
口からの栄養摂取が難しくなった頃、医師は胃瘻を提案しました
当時80代の方でしたが、それは医師が彼の一番の楽しみを知っていたからです
「胃瘻をつくったらワインが飲めるのか、じゃあつくる」
そんなことを言って私たち医療者をいつも笑わせてくれる快活な方でした

本来病院ではお酒は禁止ですが、今後のこと(予後)や奥さんとお酒を飲むのが楽しみだったことから胃瘻から赤ワインを入れる(胃瘻からワインを飲む)ことを私たち看護師はしていました

いい匂いだよなー
赤ワイン好きでよかったよなー、色も楽しめる
そうやってニコニコしていました

違う患者さんは、お孫さんがオレンジジュースが好きで
面会の時に自分のお小遣いから俺の分も買ってきてくれる

飲まないなんて孫を悲しませたくない
そう話していた方もいて
お孫さんと日向ぼっこしながらオレンジジュースを飲んだ(胃瘻から入れる)
方もいます

世界一美味しいオレンジジュースだなと言っていたのが印象的でした

ご家族と本人に意思がすれ違ってしまうのって
例えば小さい頃お母さんがつくってくれたお菓子が美味しくて
「すっごく美味しい」
って伝えたら毎日のようにそのお菓子がでてきて
美味しかったけれど味に飽きてしまう
言いたいけど傷つけてしまいそうで言えない
お母さんは子供が美味しいと思っているからつくっている
そういうすれ違いのようなものも多いのではないかなと思います

どんな時だってそれぞれの最善が違うから葛藤がうまれる
これで良かったんだろうかと悩み続ける
ずっと悩んでその決断をご家族がしてくれたら(ご自身でできる状態になくても)
それって素敵なことだなと私自身は思います
大切な人に元気でいて欲しい、笑っていて欲しいと思って悩んでくれる家族がいるなんて最高に嬉しいことなんですよ
嬉しいことだと「思う」なんて言いません
嬉しいです
看護師の私はそれを知ってます

延命や告知、治療
その命は誰のもの?
そう考えることが多い世界に私はいます
そして正解がないことも知っています

これを読んでくださった方の中には介護をしている真っ最中だったり
もう少しで介護をする立場になりそうだったり
介護が終わった方もいるかもしれません

亡くなった方も、介護を受けている方も
例え口でありがとうが伝えられなくても
私はあなた達家族に沢山の感謝をしていることを知っています

これを読んでくださった方の気持ちが少しでも軽くなりますように

そしていつだって架け橋になれるように看護師の仕事を頑張っていこうと
改めて思いました

折り紙の折り方をYouTubeで配信しています
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