最前線の現場にいる看護師が伝えたいこと

私の職業は看護師です
今年で看護師15年目をむかえました
今、世界中でCOVID-19(新型コロナウイルス)が蔓延していています
私が暮らしている日本でも想像がつかないスピードで猛威をふるっています
COVID-19の患者さんを実際に看護している私が伝えたいこと、知って欲しいことがありブログに書くことにしました
私が働いている現場での話ですので他では違うなどもありますので、そのあたりはご理解いただけたら嬉しいです

看護現場の実際

COVID-19の患者さんが入院してくる場合、他の患者さんに感染させないように個室に入院してもらいます。部屋から出ることは禁止です。
ご家族の面会であっても全てお断りしています。
必要な荷物を持ってきていただいても看護師が預かって、面会をすることは感染を広げることになるのでどんな患者さんであってもお断りしています。

基本的には担当看護師しかその病室に入りません。
病室に入る時は
マスク、帽子、手袋、ゴーグル、身体全体が覆われるようなガウン
を着用します。
防護服は1回1回使い捨てです。
必要な物品(血圧計や聴診器、パソコンなど)も病室に入れたままにします。
食事の配膳も下膳も担当看護師のみ
ナースコールが鳴って、担当看護師以外が電話越しに話すことはありますが、その他のことはすべて担当看護師が行います。
透析をしている人だと病室で透析をすることになります(本来透析室で行うことができないので病棟の看護師スタッフがそこにとられてしまい人数が減ります)
感染した人が自立した人ならまだ病室に入る回数自体を少なくできますが、例えば医療処置が多い人、認知症で病室から出てきそうになってしまう人
そんな患者さんの対応を私たち看護師はしています。
余談ですが、ゴーグルにマスクのきついゴムの痕で私の顔はいつも笑っちゃうくらいに悲惨です。

COVID-19患者を受入れ拒否しているのかどうか

最近メディアでは、COVID-19患者受入れ拒否という報道が目立つ印象があります。
私は『拒否』という言い方に違和感を覚えます。
拒否をしているわけではなく、実際に受け入れることが『不能』であったり『困難』なのです。
資材が足りない
受け入れることによって院内感染が起きるリスク(全ての病院に資材や人員が充足しているわけではないからです)
病室が足りない
今入院している患者(抗癌剤治療をしている方や妊婦さん、血液疾患の方など)さんの感染のリスクを避けて受入れられない
そんな現状をあまりメディアが報じてくれない気がするので、頭の片隅でいいので覚えておいてくださったら嬉しいです。

COVID-19患者さんを誰が担当するのか

COVID-19患者さんを担当できない看護師は
妊娠しているスタッフ
50歳以上のスタッフ
子供がいて一緒に暮らしているスタッフ
などです
どんな状況で感染するか分からないので、担当から外します。
私がCOVID-19患者さんを受け持つことが多いのは、独身だからという理由もあります。
こういうことを書くと差別と思う方もいるかもしれませんが、今回これを私たち看護師側は『区別』として捉えています。
“あなただってこれから誰かと結婚して妊娠だってするかもしれないのに”
という言葉はどうか今だけは心の中だけにして私たちには頑張ってねの言葉をくださると最高に嬉しいです。

看護師は患者さんを選べない

もしこれを読んでくださっている方の中にはフリーランスで仕事をしている方もいるかもしれません。
仕事が減っていき、これからの生活をどうしたらいいか悩まれている方もいるかもしれません。
看護師なら仕事はあるんだし、自粛対象外の仕事でお給料だってもらえているじゃないか
そう思う方だっているはずです。
私たち看護師は入院してきた患者さんがいる以上、その患者さんを拒否したり看護しないという選択肢はありません。
理不尽なクレーマーであろうが、迷惑行為を続ける患者さんであろうがその人たちを退院するまで看護していくのが私たちの仕事の一つです。
一例ですがCOVID-19患者さんは例えば病室でタバコを吸ったとしても強制退院ができません。
タバコを吸われた場合、そのあとの始末書は私たち看護師が書きます。

俺は買い物に行けないんだから代わりに食料を買ってこいという患者さんや、私たち看護師のことを目の前でパシリと言う患者さんもいます。
買い物自体の代行はすることができます。
ただ、忙しい時間帯を狙って今すぐ買ってこいと言う発言をしたり、時間が欲しいと伝えても気に入らずにモノを投げてくる方もいます。
すぐに助けを呼べる環境ならいいですが、病室の中では制服のポケットのモノに触らない、電話(ナースコールと連動しているPHSがあります)にも出られない、かけられない状態の中で起きています。
もちろん、礼儀正しく私たちが見習わなければいけないような患者さんだって沢山います。

院内感染と医療崩壊

院内感染が起きた時、病院側だけのせいでは無いことを知って欲しいです。
もちろん、ずさんな管理の結果起きることもありますがこの現状でずさんな体制の病院は少ないと思います。
どの患者さんの家族であっても、極力面会は控えて欲しいと伝えてはいるものの都内を出歩き回って自分だけは感染していないという謎の自信と共に長時間面会をする方がいます。
そんな方が病院に何人いるでしょうか。
もしかしたら、自分は発症していないだけで誰かに感染させている。
そんな可能性だってあるんです。
私たち看護師も熱が37.5度以上ある場合、その日は出勤はしない決まりがあります。
少しの倦怠感、体調の悪さ
それを無視して働いたらどうなるか
私たちが一番その怖さを知っているからです。

日本でも医療崩壊の危機が連日報道されています。
医療崩壊って、ただ単に人員が足りない、資材が足りない
それだけで起こるわけでは無いんです。
もしあなたが不要不急の外出をして交通事故にあったとします。
救急車で運ばれたとしても入院できるかどうか分からない。
そんな現状が迫っています。

今、緊急では無い手術患者さんは入院をキャンセルしてもらっている状態です。
それだけCOVID-19の患者さんで病室が埋まっていっているからです。
そんな中で仮にあなたが手術が必要になったとしても病室が確保できない以上入院ができないという状況になります。

なんでPCR検査をしてくれないんだ、こんなに苦しいのにという方が大勢病院に電話をかけてきます。問い合わせの電話に追われて本来の仕事に支障が出ています。

仮になくなった患者さんがいる場合も、最期の瞬間にたちあえない。
それを一番に無理やり納得させて看護しているのは私たと看護師です。

一方的に医療の体制が悪い、医療従事者は何もしてくれない
そんな投稿も見かけます。

私たち看護師は神経を張り詰めて、自分自身が感染源にならないように最大限の努力を毎日のようにしています。
毎日毎日不安との闘いの中で働いています。
本当は自分たちだって怖い
本当は逃げ出したい
そんな気持ちだってあります。
でもそれを全部丸ごと隠して、辛い顔も悲しい顔も誰にも見せないようにして
職場に行って制服に着替えたら、どんな人にも笑顔で接する。
そうやって決めてます。

そんな気持ちをなんとか保って働けているのは、私の家族や友人が応援してくれているからです。

お願いしたいこと

看護師の私からお願いしたいことがあります。
どうか最前線で働く医療従事者に舌打ちや嫌がらせをしないでください。
その態度一つが医療崩壊につながります。
どんなに身体が元気でも、心が疲れてしまったら働くことができないからです。

自粛できる環境にある人はどうか家にいて自粛をしてください。
あなたが家にいることであなたが感染しないだけでなく、本当に多くの人を感染させないという行動に繋がることができます。
勿論運動のために散歩をする、必要なモノを買いにスーパーに行く。
私はそういうことをしないでくださいと言っているわけではありません。

東京の街並みが今は空いているから撮影に行く
一緒に行ってくれる人を募集する
そんな投稿を見かけました
それは不要不急の外出でしょうか
お願いだからやめてください

あなたが感染しなくても、他の人が感染するリスクがあることを知ってください。

トイレットペーパーやマスクの買い占め。
必要な資材が病院では足りない状況が続いています。

行動を1つ変えるだけで、沢山の大切な人を守ることにつながります。
どうか協力してくださったら嬉しいです。

最後に

ここまで医療従事者のことが注目されていることは、私が看護師をしている中では初めてに近いです。
私が看護師として働けているのは、一緒に働いてくれる同僚、医師、助手さん、事務さん、警備さん、ハウスキーパーさん、栄養士さん、臨床工学士さんや、臨床検査技師さん。
他にも沢山の方の支えがあって看護師という仕事ができています。

そして
いつも応援してくれる家族や友人
声に出して伝えてくれる人がいるおかげで私は働けています。
私は今年看護師15年目になりました。
長いのか短いのか正直分かりません。
それでも
沢山の患者さんに会えたこと、そのご家族と関われたこと
生きるって何かを本当に文字通り身体を張って教えてくれた患者さんが大勢います。
続けているうちに私は看護師の仕事が好きになりました。
そして出来ればこの仕事をずっと続けていきたいです。

1日も早く終息にむかいますように。
そしてこれを読んでくださった方の毎日が笑顔で溢れるものとなりますように。

いつも応援してくれて、励ましてくれて本当にありがとうございます。
感謝を込めて。

最近は友人に会えないので可愛いポストカードを見つけて手紙を書いたりしています

私が出勤する時も、仕事が終わって帰る時も聴いている歌があります。
今は会えない大好きな人たちに、いつか会えると信じて働いています。

YouTubeで折り紙の折り方の配信をしています。
#STAYHOMEの1つとして見ていただけたら幸いです

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